お知らせ

【終了】星野美智子版画展 「砂の本」特集 1980〜2013 

[会期]
2013年6月7日[金]〜22日[土]
12時〜18時 (最終日17時まで) [日月休廊]

アルゼンチン出身の小説家ボルヘスが描き出す幻想的な物語世界に、自身に共通する表現世界を見出し、以来ボルヘスをテーマに多数の作品を制作してきた星野美智子。今回は1980年より現在に至るまで、繰り返し現れることとなった中心的モチーフの一つ「砂の本」をテーマにした作品のベスト・セレクション展を開催いたします。

※会場展示風景

*オープニング|6月7日[金] 17:30〜19:30
初日には作家出席にてオープニングパーティーがございます。ぜひご来廊ください。

*ボルヘス迷宮忌の集い|6月14日[金] 18:00〜20:00
会期中の6月14日はボルヘスの命日である迷宮忌にあたりますので、ボルヘスを偲ぶ特別プログラムをご用意しております。ぜひご参加ください。
→出演者プロフィールなど詳しいご案内はここをclick!

・「砂の本」朗読 長浜奈津子(俳優座女優)
・ギャラリー・トーク:土岐恒二・野谷文昭・星野美智子

「砂の本―開かれた無限のページに」Lithograph, ed.50, 1993

■星野美智子とボルヘス『砂の本』
ボルヘスの短編小説に現れる「砂の本」は始まりもなければ終わりもなく、同じページを二度と開くこともできない不思議な本です。「砂の本」は、星野が展開するイメージの世界の出発点にあり、35年に渡る創作活動のなかに度々登場しますが、これまでまとめて展示されることはありませんでした。本展では、星野の最初の「砂の本」をテーマにした1980年頃の作品から最新作までを含めてセレクトした作品で、改めてこのイメージの世界を旅します。

黒の魅力
 瞑想的な表情を持つモノクロ・リトグラフ版画の第一人者である星野の、マチエールや色彩を敢えて削ぎ落としたモノクロでの表現は、観る者それぞれにイメージを展開できる余白を与える、逆説的な自由で豊穣な世界となって広がります。それは本来かたちを持たない記憶や思考などの見えない世界のイメージの広がりです。近年ではデジタル版画による表現も加わって、そのイメージの世界は新たな進化と深まりを見せています。

ボルヘス的モチーフ
 人の記憶や思考を揺さぶるボルヘスの物語世界にいくつものライトモチーフがあるように、星野のイメージの世界にも記憶や知識を象徴するような「バベルの図書館」や「砂の本」また、時間を超えて永遠に記憶していく媒体である「記憶する薔薇」などが繰り返し現れます。始まりも終わりもない、同じページを二度と開くこともできない「砂の本」はまさに人の知識や記憶の集積装置としてのイメージであり、また壊れた本のイメージの写真を制作に取り入れる契機となったモチーフでもあります。

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◎ボルヘスについて
ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899-1986年)は20世紀を代表するブエノスアイレス出身の詩人小説家。独自の価値観をもち、複雑に入り混じる現実的要素と想像的要素と象徴的要素とを融合させて語る短編小説は、繰り返し読まれることに耐え、読者に新たなイメージを展開させる力を持っている。特に『伝奇集』や『エル・アレフ』などに収録された夢や迷宮、無限と循環、架空の書物や作家、宗教、神などをモチーフにする幻想的な短編小説によって知られる。