お知らせ

【終了】藤田嗣治 版画展

2013年2月9日[土]〜23日[土]
12:00〜19:00 (最終日は17:00まで)(日休)

今日では村上隆や奈良美智、草間彌生などインターナショナルに大活躍する日本人アーティストが輩出していますが、つい最近まで世界的に通用した日本人画家と言えば、藤田嗣治(洗礼名レオナール・フジタ:1886〜1968)ただひとりだけでした。彼は第一世界大戦前後から狂乱と祝祭の日々に明け暮れたパリで、モディリアーニやキスリング、パスキン、シャガールなどとともに、エコール・ド・パリの一員として確固たる地位を築いていました。
にもかかわらず、藤田は日本の洋画史においては長い間正当な評価をされませんでした。極端に言えば、世界が認めたのに日本では認められていない、そんな不思議な扱いをされてきたのです。そして著作権の問題もあり、その知名度に反して長い間展覧会が開かれず、一時はこのままでは藤田は忘れ去られてしまうのではと危惧されたこともありました。
しかし、2006年に生誕120周年を記念する展覧会東京と京都の国立近代美術館で開催されてからは、2008年に没後40年の記念展が全国9カ所を巡回するなど、その再評価が順調に進んでいます。また、2011年に箱根のポーラ美術館で開かれた展覧会では、長い間謎とされてきた藤田のいわゆる「すばらしき乳白色の下地 — グラン・フォン・ブラン (grand fond blanc)」の制作にあたってはベビーパウダーの「シッカロール」(和光堂)が使われていたとういうことも判明しました。

藤田の紹介と研究は今後もますます進んでいくと思われますが、彼の作品の最大の魅力は何と言ってもその線描にあります。彼はこの線描を端的に活かせる表現手段として、1920年代中頃からは版画制作にも力を注ぎ始めます。そして、晩年に到るまで銅版画や石版画(リトグラフ)など多種多様な版画芸術の世界を表現し続けました。フランスでは版画にも優れた画家のことを、敬意を込めてパントル・グラヴァール(画家にして版画家)と呼びますが、彼はまさしくこの呼び名にふさわしい芸術家です。

本展では、藤田の線描の魅力溢れる版画20余点を展示販売します。藤田の多彩な線描の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。

[◎掲載作品キャプション:藤田嗣治「魅せられし河:サン・フィリップ教会」1951年 銅版]

展覧会概要

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