3月24日(日)のプロトマニア・アート・レクチャーのご案内です。
第58回《〜これまで誰も教えてくれなかった〜『絵画鑑賞白熱講座』》
20世紀イタリア美術最大の巨匠 ジョルジョ・モランディ
第57回《フォーヴ もう一人の抒情詩人 ラウル・デュフィ》の様子が下記プロトマニアのHPにて紹介されています。よろしければご覧ください。
さて、次回は20世紀イタリア美術最大の画家として評価の高いモランディをとりあげます。
実はモランディは私の人生の転機になった画家でもあります。今から11年前の2008年の春、私は展覧会プロデューサーとしての集大成として、学生の頃から関心の深かったモランディの展覧会企画に着手しました。
それから3年の歳月をかけて、展覧会の核となるモランディ美術館、次にモランディの希少な形而上絵画の名作を所蔵するミラノのブレラ絵画館、モランディの評価の先がけとなったイタリア最高の美術史家ロベルト・ロンギの財団をはじめ、作品所蔵美術館、画廊、個人コレクター、イタリアのローカルなオークション会社などとの交渉を終え、日本の開催館との度重なる打ち合わせを経て、《モランディとの対話 − キリコからフォンタナまで》展のオープニングが迫ってきました。そして、いよいよイタリア各地での作品集荷を翌日に控えた2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。震災の混乱の中、この展覧会は紆余曲折を経て、延期そして中止となってしまったのです。ちなみに、展覧会の図録は一般書籍としての発行を念頭に準備されていましたので、モランディの画集として刊行されました。
展覧会にはトラブルはつきもので、むしろトラブらない展覧会はないと言ってもいいくらいです。それまでスリリングな経験をさんざんしてきましたが、さすがにオープニングの直前で未曾有の天災によって完全に開催不可になった展覧会経験は始めてでした。
前置きが長くなりましたが、モランディは20世紀イタリア美術最大の画家と称賛されながら、他方で、生涯イタリアの古都ボローニャに留まって制作を続けたことや、何の変哲もない瓶や陶器をモチーフとして、その組み合わせを執拗なまでに追求する厳しい作画態度から『修道僧のような生活を送る孤高の画家』のイメージがつきまとっています。
その上、モランディの絵は無機質なモチーフを相手に、やっていることがあまりにも微妙なため、お対話する気持ちで見ると、いくら見ても見飽きることがないのです。何かが微妙に違ってくるのです。
私は以前から、この講座で前々回にとりあげたマルケとモランディの画風に共通するものを感じています。マルケ1875年生まれで1947年没、モランディは1890年生まれで1964年没ですから、まあ同時代の人ですね。
類似点はまず、色調。どちらも中間色の巨匠です。そして、肥痩のある濃い目の色の線描の効かせがマルケ風の静物画を描いていたら、洒脱なモランディ的な静物画になっていたのではないかと想像の世界で遊んだりします。
次回は、一見単調なモランディの絵から見えてくる様々なものをみなさんと探ってみたいと思います。
展覧会概要
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